2014/3/29実施 最高峰ダブルガウス型標準レンズ(一眼レフ用) 描写テスト
(The best Double Gauss type SLR Normal Lens Test)

フィルム一眼レフ全盛時代に、最高といわれた3本のダブルガウス型(変形ダブルガウス型)の描写を比較してみました。

1本目は、ヤシカ・コンタックス用のプラナー50mmf1.4です。特にこの固体は製造番号が581万番台の極初期レンズです。
初期型の中でも582,583で始まる個体は、数は少ないもののマーケットで発見可能ですが、581のものは最近はあまり目にしなくなりました。
極初期のプラナーは製品のバラツキが大きく、良い個体は非常に高いコントラストとピント性能を示すといわれています。

2本目は、ご存知、西独逸のツアイス・イコンがその威信を賭けて開発したコンタレックス・カメラ用のプラナー55mmf1.4です。
一部には過去発売された最高品質の標準レンズという定評も聞かれます。描写のみならず、その堅牢かつ質感豊かな製品の品質に驚かされます。
ヘリコイドのトルクもこれ以上はないと思われるほど適度で、非常にスムーズな動作感があります。
コンタレックス用レンズは絞りがボディ側にあるため、今までデジタルでの使用に制限がありましたが、この固体はニコン・マウントに改造してあるため、
制約はありません。(ソニーα7の発売でさらに自由度が増しました。

3本目は、ライカR用のズミルックス50mmf1.4です。この固体はフードが別となる初期のタイプです。フード内蔵の後期のものと比較すると、初期型のほうが
やや柔らかい描写を示し、私の好みのようです。
Y/C Planar 50mm f1.4(極初期581万番) Contarex Planar 55mm f1.4 Summilux R 50mm f1.4
     
 
 
画像@
photo @
開放全体画像
Full Aperture
拡大画像
Partial Enlargement

全体画像では、3本とも非常に良く似
た画像となっています。さすがにいずれも変形ダブルガウス型の代表レンズ。
拡大画像で見ますと、そこでは各々の周辺部のボケ特性が表れ始めていますね。
 @Y/Cプラナー50mmf1.4
  ピント部分は非常にシャープ。ボケは中程度に輪郭のある2線ボケを示します。外縁部ではわずかに画像の流れが見られ、収差の残存が伺えます。
 Aコンタレックス用プラナー
  開放ではピント部分にわずかにフレアが乗ります。ポートレートでは肌を綺麗に描写してくれそうに思えます。
  その分、ボケは柔らかく、3本の中では最も2線ボケの傾向が弱い美しいボケを示します。
 BズミルックスR
  ピント部分は非常にシャープです。ボケはY/Cプラナーよりもわずかに強めの2線ボケで、3本の中では最も硬い描写になります。
  ただし、周辺部にも画像の流れは無く、きつめの補正が効いていると思われます。

画像A
photo A
開放全体画像
Full Aperture
拡大画像
Partial Enlargement

この作例では、ピント部分の描写と、ハイライトのフレアを確認してみます。
 @ピント部分はどれもシャープですが、細かく見ると、ズミルックスRがわずかに切れが強いようです。
 Aハイライトのフレアは、コンタレックス用プラナーが最も強く出ます。
 B同じ色温度で撮影していますが、両方のプラナーがやや黄色気味に発色するのに対し、ズミルックスはやや青が強くでます。
  この結果は、かつてカメラ雑誌でプラナー・ズミルックス比較が行われたときと同じ色傾向ですので、メーカーの特性ともいえます。
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画像B
photo B
開放全体画像
Full Aperture
拡大画像
Partial Enlargement

画像@と同じ描写の傾向が確認できると思います。
この被写体ですと、ズミルックスの青傾向が綺麗に見えますが、人物被写体などでは一概に言えません。

画像C
photo C 
開放全体画像
Full Aperture
拡大画像
Partial Enlargement
 
 
 

わずかに焦点距離が長いコンタレックス用プラナーが立体感が立体感を強く感じさせてくれますが、どれも端正で類似した描写です。
画像の傾向は画像@の評価と同じです。
総合すると、
 @切れの良い画像を求めるなら、ズミルックスR
 Aポートレートなど少し柔らかめだが、抜けの良い立体的画像を求めるなら、コンタレックス用プラナー
 B汎用的に両方の特性を適度に求めるなら、Y/Cプラナー
というように思えました。