Hektor 73mm f1.9

Lens Data

Lens Unit

Lens Photo

発売:1931年
重量:461g
サイズ:53mmx73mm
構成: 3群6枚
フィルター径:39mm
最短撮影距離:1.5m

Lens Impression
最近巷(特定の)でよく話題になるヘクトールHektor 73mmf1.9。元来はポートレート用に設計された超高速レンズです。製造開始が1931年ですから当時としては物凄い高性能レンズだったんでしょう。ライカレンズの中でも1936年にクセノンXenon 50mmf1.5が作られるまでは、標準レンズも含めて最も明るいレンズでした。生産中止は1942年と言われていますが、ものの本によると1946年までごく少数製造されたようです。その間の総製造数は7225本ですから、微妙に希少価値のあるレンズといえます。
Leitzレンズは9万5000番(約)以前はレンズ内部に番号が付されていたため、10万番以前で外装にレンズ番号が表記されている個体は非常に少ないと言われて降りますが、このHektorの製造開始がまさにその番号に当たっております。したがって、9万番台のHektorをお持ちの場合はかなりの珍品ということができます。

Hektor73mmレンズには様々な分類の方法がありますが、もっとも公式?なものが、レンズcodeによるもので、「距離リングがニッケル仕上げ」のものが「HEKON」、そしてその中で距離計連動のものを「HEKON KUP」とし、「距離リングがクローム仕上げ」のものを「HEGRA」とというように分類されています。
次に顕著なのが、Focusingでレンズ部分が回転するものと直進式のものの2種類ですが、必ずしも上記ニッケル・クロームの分類とは一致していません。
また、レンズブロックがネジ式で外れるものと、固定のものがありますが、これも上記との直接の相関は確認できていません。

このレンズは外観デザインが多様なことでも有名で、知られているだけでも、上の画像下段の左から、
@オールブラック、
Aオールクローム、
B焦点距離リング下部がニッケル、他がブラックのツートンでマウント部がブラックのもの、
C焦点距離リング下部がクローム、他がブラックのツートンでマウント部がクロームのもの、
D焦点距離リング下部がクローム、他がブラックのツートンでマウント部がブラックのもの、
E焦点距離リングが中央部分のみブラックで上下がクローム、マウント部がクロームののもの、
F焦点距離リング部分全体がクロームで他がブラックのもの、
などがあります。とにかく頭がこんがらがるレンズです。

Focusingでレンズ部分が回転しないタイプは、カラーフィルムがなかった当時に、赤・緑・青の3色のフィルターとAgfa社の特殊なフィルムで「擬似カラースライド」を作るためと聞いております。「アグファの特殊フィルターを付けて使用すると初期のアグファカラーの撮影が可能。このフィルターは3色の色帯に分かれているが、この色帯が常に水平を保ってフィルムの乳材層に結像する必要があるため、ピント合わせ時に鏡胴が回転しないで直進するHEGRA(直進ヘリコイド・タイプ)でないといけない」との記述をいただきました。
そして、こちらも「元祖滲みレンズ」の1本。時期的にはSummilux35mmよりも早く、約20年前から滲みに対する興味を培ってくれたレンズです。よくタンバールと並べて評じられますが、写りはまったくの別物。タンバールはやはりソフトレンズの仲間であり、この「滲みレンズ」の分類にはなかなかなじみにくいですが、ヘクトールはまさに「滲む」レンズと言えます。さまざまなバリエーションのなかで、私の所有しているのは、ヘリコイドがオールクロームで直進式、レンズ部が分離可能なタイプで、それを利用して一眼レフ用のアダプターを特注で製作した(20年くらい前)。このアダプターはPenta645のものを活用したものですが、非常に良く出来ており、無限から「30cm」までぴたりとピントがきます。また、つい最近オールブラックを2本入手しました。

2008
Kew Gardens
(キューガーデン)
ガラスの温室で有名な植物園キューガーデンです。外は気温が低い一日でしたが、温室の中はカラフルな花で埋まっていました。
このヘクトール73mmは上記のレンズ画像にあるようにレンズブロック部分が取り外せるタイプのものですので、それを利用して1眼レフに使用できるようにしてあります。利用したヘリコイドが移動量を多く取れますので、ライカでは体験できない接写が可能です。
ヘクトール73mmはバックのボケの卵型が知られていますが、ここまで接写してぼかすと、それもあまり目立ちません。むしろ立体感のある良い画像を作ってくれると思いますが、いかがでしょうか。
2007
Notting HIlls
(ノッティングヒル、ハイドパーク)
ヘクトールHektor73mmf1.9の特徴は、なんといっても「滲み特性」と、「バックの蛙の卵ボケ」だと思います。ボケ全体の印象も、その「蛙の卵」が連なって構成されていますので、ボケ画像に面白い「リズム」が加わります。単にうるさいボケと言ってしまえばそれまでですが、同じ音楽でも世代によって受け止め方が異なるように、私にはこのヘクトールのボケのリズム感が非常に心地よいものになっています。
2007
Cars in London
(ロンドン市内の車)
これらの車は住まいの周囲100mに、昨日の夕方駐車してあったものです。5分間で撮れたもので、撮りためではないです。しかも路上駐車ですからねえ。
1枚目はなんとフォードGTではないですか。なかなかお目にかかれないですね。車のすぐ前に魚料理のレストランがあるのですが、よくこんな車でご飯に来ますね。2枚目はクラシックなロールスロイスですね。この形はロールスの中では一番好きです。リアの部分が斜めに落ちていく形状はすばらしいと思います。アストンマーチンもよくいるのですが、この時は見つかりませんでした。
ヘクトール73mmは立体感がよく出てますね。
日本の貧富格差の小ささに感謝します。
2006
Plants
(植物)
このレンズの後ボケは、かえるの卵がつながったように見えることがありますが、それはそれで大好きなボケ方です。今回の作例でもぐるぐる系は少ないのが特徴のひとつですが、小さな円が組み合わさっている感覚の非常に面白いボケがみられますね。
2006
Tochigi-city
(栃木市)
冬から春先にかけての光にこのレンズは良くあうようです。独特の滲みが、ぼんやりと春に向かっていく雰囲気を出してくれるのかも知れません。なんとなくあたたかいです。
2005
Kamakura
(鎌倉)
このレンズの特徴であるハイライト部分の描写については、そこからまた別の光が発生して輝いているかのような非常に雰囲気のある滲みを見せてくれるので、ポートレートなどには最高の一本であることは間違いないですね。タンバールのように全体がソフトに滲むのではなく、芯はそれなりにしっかりしているので、汎用性は高いと思っています。作例にあるように、ごく普通の家の塀を写しても、ヘクトールで撮るとなんとなく「文学的な香り」が出るような気がします。

Photos with Hektor 73mm

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