Dr.Hensoldt PROTO 55mm f1.8
 

Lens Data

Lens Unit

Lens Photo

製造年:不明(1947年ころか?)
マウント:ライカスクリューマウント(非連動)
estimate

Lens Impression

資料がほとんど見つからず、よくわからないレンズです。Hensoldtというメーカーは双眼鏡やライフルのスコープ、そしてI.S.O. Reporterのドイツ版であるHenso ReporterとそのレンズArion 50mmf1.9などでも知られていますが、このレンズのように、ライカマウントかつ距離計非連動のものがなぜ作られたのかよく分かりません。

Hensoldtの歴史を少し追ってみます。
1821年 Moritz Carl Hensoldt 誕生
1847年 光学関係のワークショップ開始
1852年 妻の甥のLouis Engelbertと会社設立
1861年 BraunfelsにEngelbert & Hensoldt Microscope設立
1865年 Wetzlarに移転
1896年 息子のWaldermerとCarlが経営に参画、会社名はM.Hensoldt und Sohneとなる
1897年 双眼鏡に初めてペンタプリズムを発明
1903年 Moritz死去
1922年 M.Hensoldt und Sohne Optische Werke AGとなる
1928年 Carl Zeiss 傘下に
1946年 廉価版カメラ「Hensoldt Publica」製造。しかし、ライツ社からのクレームと法的措置により、わずか100台程度で生産終了
1953年 ライツ社の特許を回避するため、新カメラ「Reporter」の製造をイタリアのISO社に依頼。ドイツには逆輸入の形で、「Henso Reporter」として販売。
     このReporterカメラの最も明るい標準レンズが「Arion50mmf1.9」である。マウントは46mmのスクリューマウント。
     事業の運営はMoritzの孫のHansに引き継がれている。
2006年 Hensoldt AGは「Carl Zeiss Sports Optics GmbH」に名称変更

上記年表にもあるように、同社は戦後「Hensoldt Werke Wetzlar Publica」というカメラを製造しましたが、その一部にPROTO 「50mm f1.9」というレンズが装着されていたことが知られています。このカメラは製造開始直後に同じWetzlarのLeitz社から特許侵害でクレームがつき、ほとんど製造されることはありませんでした。100台以下とも言われています。その後イタリアのISO社との交渉の結果、Henso Reporterとしてイタリアで製造が開始され、PROTO 50mm f1.9は「Dr.Hans Hensoldt Arion 50mm f1.9と名称を変えて装着されたようです。

一方で、55mmと少し焦点距離が長く、少し明るいこのPROTO 55mm f1.8レンズですが、それ自体の情報は未だに発見できないままです。
不確定な情報では、@このレンズが「Royal Optik Luminar 55mm f1.8」と非常に似ているが、その「Royal Optik」自体の情報がなく、レンズもこの「Luminar 55mm f1.8」しか知られていない謎の会社である。A同時期、WetzlarにLordmatやLordonレンズで有名な「Leidolf社」が存在し、その米国代理店の名称がROYALであり、Lordon 50mmf1.9は、ENNA社からEnnalyt 50mmf1.9と同じものが供給されたといわれ、そのレンズとHanso ReporterのArion 50mmf1.9が似ている。などといったものがありますが、いずれも噂の域を出ていません。当時南ドイツの各社は、戦後のドイツ東西分割のインパクトもあり、危機感を強めかなり連携を強めていたのではないかということから想像される情報です。
レンズ構成ですが、順当にダブルガウス構成かと思っておりましたが、絞り開放での撮影画像を見ると、周辺がかなり強めに「グルグル」していることが分かります。点光源の反射数を見ると、前群4カ所、後群4カ所で貼り合わせらしきものは見当たりません。分解が難しく詳細ははっきりしませんが、4群4枚独立のスピーディック(タッカー)型か、エルノスター型と思われます。


I could not find the detailed data of this lens. Hensoldt is the company famous for binoculars, scope for rifle and Henso Reporter attached with Arion 50mmf1.9 which is the german version of I.S.O. Reporter. It is not clear why they made such Leica mount uncoupled lens as this 55mm f1.8.

 Photos with Dr. Hensoldt 55mmf1.8
 
2019
Red leaves at home
(自宅紅葉)

そういえば、このレンズを絞り開放で撮影した記憶があまりないな、ということを思い出し早速家の庭に出てちょうど色づいた紅葉を撮影しました。

改めてボケが「グルグル」であることを認識しなおしました。しかもかなりはっきり観察できます。これはどう考えてもダブルガウス型ではないでしょう。
やはり上記の通り4群4枚という収差補正の難しいレンズ構成なのかもしれません。。


2010
Hyde Park and London center
(ハイドパークとロンドン市内)

かなり強い日差しの日でしたので、f4くらいに絞っています。日差しのせいもありますが、ハイライトは飛びやすい感じがします。

それでも全体としてはかなりシャープな解像力ですし、私の持ちレンズの中ではかなりドライでさっぱりとした描写のように思えます。周辺部は比較的多めの非点収差と思われる流れがみられますね。。


Because the sunshine was very strong on that day, I closed the diaphragm at aroundf4. I think this lens has tendency to express rather higher contrast.

Despite that,  It shows very sharp details and the description I feel is rather dry among my favorite lenses. I can find moderate disorder of bokeh because of possible remaining astigmatism around peripheral area..

     
 
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