Lens Kyoshitsu Top
素人レンズ教室−その8 
収差(6) 非点収差の続き



「あるレンズ教室での1コマ」

先生 : 皆さんおはようございます。授業を始めますよ。
Aくん : 先生、質問があるんですけど。
先生 : 朝っぱらからどうしたの?まあいいです。じゃあAくんの質問から行きましょう。
Aくん : この間の「非点収差」の授業ですけど、光線がレンズに入射してくる部分が今ひとつすっきりしないんですけど、もうすこし判りやすく説明してくれませんか?まさかレンズの形が歪んでいるから、縦の光線と横の光線が焦点がずれてボケが横長になったり、縦長になったりするということではないでしょうし。なにかまだ納得いかないんですが、、、。
先生 : あら、さすがAくん、優等生だけあるわね。よく気がついたこと。
前回はクラスのみんなに仕組みを簡潔に理解してもらおうと思って、入射光の部分の説明は省略しちゃったの。
気が付かれちゃったんじゃあ仕方ないわね。じゃあ今日の授業はそこを説明しますね。ただしちょっと複雑だから覚悟しておいてね。

先生 : じゃあこの解説図をよーく読んでね。
生徒 : はーい

先生 : どうみんな判った?
生徒 : (シーン)
先生 : だからあまり突っ込んだ質問するんじゃないの。
とにかく今回覚えて欲しいのは、

@非点収差は別に歪んだレンズじゃなくたって発生する。
A入射光の角度が関係するので、周辺のほうが発生しやすい。
B補正するのは大変。だから1890年にDr.Paul Rudolphがアナスティグマート(非点収差と像面湾曲を補正)を発表するまで、いろいろな学者が挑戦してきた。

先生 : みんな判ったわね。
生徒 : はーい
Aくん : でも先生、じゃあなぜこのルドルフ先生が最後のほうに設計したKino-Plasmatというレンズは非点収差がたっぷり残っているんですか?
先生 : 本当に痛いところを突くわね、この子は。 それが判れば苦労しないわよ。
先生 : きっと名人でも芸に溺れるということなんじゃないの。 (こんな言葉知らないわね)
Kino-Plasmatのレンズ構成を見てもらうとみんなも見当つくかもしれないわ。

先生 : 中央に凹レンズ4枚も連続して(2枚ずつ対称に)配置するなんて、かなり奇抜だと思わない。
Aくん : いかにも周辺が歪みそうに見えるな。もしかしたら、中央の2枚は反対に書いちゃったんじゃないの???
生徒 : 反対なら普通のレンズに見えるね(一同 笑)。

先生 : あら、もうこんな時間。じゃあ今日の授業はここまでよ。 また明日ね。