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 Primoplan 5cm f1.5
 

Lens Data

Lens Unit

Lens Photo


製造メーカー:Hugo Meyer
設計者:Stephan Roeschlein & Paul Schaefter
製造番号:990174
製造年:1941年
特許番号:DE1387593
特許申請日:1936/06/17
レンズ構成:4群5枚 変形エルノスター型
重量:175g
最小絞り値:f16
絞り枚数:14枚
最短撮影距離:80cm
マウント:コンタックスマウント

Lens Impression

プリモプランの5cmf1.5です。プリモプランは通常多く見られるのはf1.9のタイプで、様々な焦点距離(Vade Mecumでは30,50,58,75,80,100,180mmf1.9が掲げられている。)の存在が知られています。マウントも多様ですが、特に珍しいものはやはりライカマウントで、市場に出てくる機会は少なく、出てきても他のマウントの数十倍という価格がつくこともあります。特に50mmf1.9のライカマウントは、Makro-Plasmat50mmf2.7、35mmf2.7と並ぶレンズ先端が膨れたキノコ型をしており、特に貴重なレンズとなっています。

さて、このf1.5のタイプは、型式全体としてかなり珍しく、ほとんど市場で見かけることは無いようです。
Vade Mecumでも25mmと50mmがCine Mackenstein Paris用に作られたと記述されているだけで、詳細は不明です。
Meyerの出荷台帳によると、Primoplan 5cmf1.5は、1939年から1940年にかけて100個以上がArriflex用に作られております。製造番号は917,000-8000番台、959,000番台、974,000番台、などになるようです。またその後990,000番台にライカ連動の個体が20個製造されており、今回のレンズはこの20個のうちの1つとなります。
この個体について正体不明な点は、マウントがCONTAXマウントであることです。出荷台帳にライカ連動を記載されている個体をわざわざCONTAX用に変更したのか?それとも初めからこの形態であったのか?非常に興味をそそられる部分ですね。

レンズ構成を反射光を移動させて確認してみると、絞りの前群は正方向4+逆方向2、後群が正方向1+逆方向1or2、となりました。他のf1.9のプリモプランではこのような反射にはなりません。このレンズは、一般的なエルスター変形のプリモプラン型ではなく、基本的エルノスター構成に近いものとなっていると推測できます。

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以前プリモプランの撮り比べを行った。対象となったのは、ライカマウントの5cmf1.9、エクサクタマウントの戦前型及び戦後型の58mmf1.9、そしてこの5cmf1.5の4本だ。
各レンズの部分拡大画像で後ろのボケを比較してみたが、ボケが最も素直なのは、この5cmf1.5をf1.9に絞った画像であり、この結果には正直かなり驚いた。しかし、このプリモプラン 5cmf1.5はレンズ構成がプリモプラン型ではなくエルノスター型なので、ボケの傾向が異なるのは当然かもしれない。

一方でピント部分のシャープさは他のレンズにやや劣り、さらに周辺画像を全体的に眺めてみると開放f1.5では放射状のボケの流れが見られており、しかもボケの輪郭も他レンズ並みに出現している。なんといってもf1.5からf1.9への改善が著しい個体である。しかし、やはりプリモプランらしさはその独特のレンズ構成に依るべきであり、構成の異なるf1.5のレンズについては、補完的位置づけに留め、f1.9レンズを本流と考えるべきであろう。

f1.5レンズの使用目的は明確ではないが、一部の資料にCine Mackensteinというムービーカメラに装着されたものとの記載がある。しかし、この指摘にはなかなか同意することはできない。Mackensteinといえば金属製の中判ステレオカメラが有名であるが、35mmサイズのムービーカメラについてはほとんど記録がない。同社は1915年に破産し、引き継いだ会社も生産はほぼ1930年代中に終了していることから、1941年製と考えられるこのレンズの使用目的としては適当とは考えられない。

このレンズの製造番号は99万番台だが、それに近い番号でレンズ形状が類似したレンズをインターネット上で探してみると、97万番台と100万番台に3cmf1.9、95万番台に5cmf1.5などが見つかり、いずれもレンズ前面の文字の配置や形状などにかなりの共通点が見られる。さらにそれらにはいずれもアリフレックス用のピント調整つまみが装着されていることから、今回のレンズも元はアリフレックス仕様だったものがコンタックスマウントに改装されたと考えるのが妥当のようだ。



 Photos with Primoplan 5cm f1.5
 
2016
Kawagoe
(川越)
 
 
新年の川越ですが、今年は少し日が経ってしまいましたので、もう新年の行事のようなものは行われてはいませんでした。しかし天気は快晴に恵まれました。
このプリモプラン5cmf1.5は経年変化もあり、開放ですとやや直射光には弱い部分がありますので、今回もf5.6程度に絞り込んだ撮影が中心となりました。
絞り込んでも、やはりフレア気味な描写は残ります。一方、ピント部分は非常に線の細いシャープさを見せてくれ、周辺部の柔らかな流れと共に、プリモプランらしい描写ですね。
軒下のたばこの看板は開放f1.5での撮影ですが、こちらはさらにプリモプランの真骨頂というべき柔らかで繊細な描写を見ていただけると思います。

I visited Kawagoe in New Year. but because the date I visited was a little later than the last year, I could not find any New Year events there. On the other hand , it was a very fine clear day.
Because of its age, this lens shows its weakness under the direct sunshine, I took most photos at around f5.6.
It shows still some flare at such closed aperture. But it shows very thin sharpness on the focused subject which would be the characteristic of Primoplan together with tentle flows of its description around peripheral area.
I took a photo of a  plate of Tobacco at full aperture shown in 2nd line of examples, at which you can find the typical impression of Primoplan of tender and sublte descriptions.


2014
Unno Juku Matsuri
(海野宿祭り)
 

レンズ仲間と長野県海野宿祭りに行ってきました。日帰りですが、駅前に立派な温泉施設がありますので、十分のんびりすることもできました。
海野宿はその保存状態も素晴らしく、さらに祭りに参加している皆さんのサービス精神あふれる対応に感動しました。この日はほぼ快晴という天気でしたので、さすがにf1.5開放では撮影が難しく、室外の作例は多くがf4-f5.6程度に絞りこんでいます。
その描写は周辺部にやわらかな収差が表れ、中心部もとても落ち着いた素晴らしいものだと思います。


I visited Unno Juku Matsuri festival with oldlens friend. It was a day trip, but we could spend a relaxing time also to visit a hot spring facilities in front of the station.
The state of preservation of Unno Juku is wondreful, and even more fascinated with the spirit of hospitality of local people attending the festival. Because it was so fine day, I could not take at full aperture outside, so pictures taken outside are mainly f4 to f5.6. The description is my very favourite with tender aberration around peripheral area and calm expression in center part.

2009
New Year Eve at Merylborne
(メリルボーンの大晦日)
オックスフォード通りから北に少し進んだところにメリルボーン地区があります。クリスマス・イルミネーションはどの地区でも年始まで残っていますので、大晦日のこの日も十分楽しめました。
コンタックスマウントのプリモプラン50mmf1.5レンズは、人工光を直接撮ると収差が目立ちますが、とても味わいのある描写で、とても気持ちよくしてくれます。


Merylborne is located a little north of Oxford Street. Christmas Illumination remains until mid of January, I could enjoy on the New Year's Eve.
Primoplan 50mm f1.5 with Contax mount shows much aberration under such illumination, however I think the description of this lens is very confortable and tasty for me.
2009
Hydepark Christmas market
(ハイドパーク・クリスマス・マーケット)

毎年恒例のハイドパークのクリスマスマーケットです。今年は規模が更に拡大し、どちらかというと大規模移動遊園地になっていました。週末の天気が悪いため、なかなか撮影する時間がとれず、この日も約30分程度で大雨になってしまい撤退を余儀なくされています。
このレンズの描写はとても好きなタイプです。まずは立体感に秀でています。1,2枚目の写真でもよく分かります。そして中心部のシャープな描写と、周辺部に向けたなだらかな収差のバランスが素晴らしいと思います。徐々にコマ収差が発生し、途中から非点収差がリズムを加えていくという、音楽的な味わいも感じられました。中心部もソフトに描写するKino-Plasmatとは一味違った表現を楽しめますね。


It's an annual Christmas market in Hyde Park every year. The scale expanded more this year and became as a large-scale traveling amusement park this. Because the weather on these weekends is bad, I could not have time to take photos easily. This day I encountered a heavy rain in about 30 minutes after arrival I had to withdraw so soon.
Description of this lens is a quite my favorite type. It is superior to the expression of three dimensional feelings as you can see in 1st and 2nd photos. And I think a balance of sharp description at the center and gentle increase of aberration towards the peripheral part is wonderful. Comatic aberration is increasing gradually, and flows by astigmatism is joining rhythmically as if I feel a kind of musical taste. We can enjoy a different expression with Kino-Plasmat which describes the center part rather softly with blur.