Sonnar 5cm f1.5 1st version (最大絞り値 f8)          
 

Lens Data

Lens Unit

Lens Photo

製造メーカー:Carl Zeiss Jena
設計者:Ludwig Bertele
製造番号:1415756
製造年:1933年
特許番号:US1975678, US1998704
特許申請日:1933/7/3, 1932/8/31
レンズ構成:3群7枚 ゾナー型
重量:181g(266g with Contax-Leica adapter)
最小絞り値:f8(初期型のみ)
絞り枚数:16枚
最短距離:90cm
マウント:コンタックス マウント(内爪).

Lens Impression

2014年8月21−27日まで行われていた新宿クラシックカメラ博に行きました。すると、とあるブースのショーウインドウの片隅にこのレンズがありました。

周囲を珍品レンズに囲まれて、肩身が狭そうに、しかも誰からも見向きされていないというような風情でひっそりと佇んでいます。
ゾナーf1.5(俗称いちごゾナー)は1930−40年代では圧倒的高性能を誇った高級レンズであるだけに、結構フェイクが多いことから、今まであまり手を出さずにきていました。しかし、この店は非常に信頼性のある店ですし、ブラックのゾナーは以前から欲しかったものなので、よく見てみると、、、、
絞り値がf8までしかありません。
おお、これはもしかするとf1.5のゾナーの最初期の数百本しかない「f8いちごゾナー」かもしれない。ケースから出していただき、よく観察すると間違いなく純正ですし、製造番号も141万番台、レンズもきれいで見事な品格です。 これで、片手で足りるお値段はお買い得でした。

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ゾナーは天才設計者と言われたLudwig Bertele(ルードヴィヒ・ベルテレ)がツァイス・イコン社のContax用に設計した高速レンズである。
ルーツは1893年の「トリプレット」レンズに遡る。トリプレットはテイラー・ホブソン社のH.D.Taylor(ハロルド・デニス・テイラー)が設計した画期的なレンズで、3群3枚という最少かつ貼り合わせの一切ないシンプルなガラスの組み合わせで非常に優秀な描写を達成した。
シンプルで、安価、そして性能の優れたトリプレットレンズの最大の課題は開放での明るさの制約であった。f3.5前後を最大値としてトリプレットをさらに発展させてより明るい高速レンズが作れないかという難題に複数のレンズ設計者が挑みf2〜f1.9の設計を提示していった。
例を挙げるならば、テイラー・ホブソン社のSpeedic(スピーディック)、ガンドラック社のultrastigmat(ウルトラスティグマート)、ボシュロムの4枚レンズ、そしてエルネマン社のエルノスターなどがある

当時エルネマン社に在籍していたAugust Klughardt(アウグスト・クルークハルト)とルードヴィヒ・ベルテレは、トリプレット型の基本的なコンセプトは保持したまま、開放f値を拡大するための曲率を獲得すべく前群を分離させ、優れたf2のレンズを完成させた。エルノスターである。ベルテレはさらに収差をコントロールするため、前群の各レンズをさまざまな貼り合わせガラスにするなどの工夫を加えていった。
エルネマン社はその後ゲルツ社など4社での合併でツァイス・イコン社になり、ベルテレもツァイスグループの一員となったが、そこで完成させたのが、エルノスターをさらに発展させたゾナーである。
エルノスターは非常に優秀なレンズであったが、プラナーと同じ8面の反射面を持ち、内面反射の処理が課題であった。その優れた回答がゾナーf2.0となった。エルノスターの第2群と第3群の間をできるだけ屈折率が1.0に近いガラスで埋め、バルサムで貼り合せる。加えて、最後群をテッサー同様「収斂作用」のある貼り合せにすることによって、第2群を3枚貼り合せにしたことによって生まれた中央の凸レンズの発散作用(より低い屈折率の面が凸型なるため)を相殺させた。

これによって、より抜けの良い高性能レンズが誕生した。
ゾナーをf2.0から、f1.5に拡大するにはさらに工夫が加えられた。
ゾナーf2.0は、もともと強いトリプレットの凹レンズの負のパワー(球面収差は後方=収差グラフの右方向=に大きく傾く)を、複数に分散させた凸レンズの段階的な正のパワー(球面収差は前方=収差グラフの左方向=に傾く)との組み合わせで打ち消した。これによりf2.0の範囲までは小さな収差の膨らみに抑えることに成功したが、f2.0より大口径になると強い凹レンズによる後方への収差の傾きが急激に顕在化する。

f1.5化に当たっては、ゾナーf2.0の最後群を3枚に増やし、中心の凸レンズの膨らみを、後方に向けて曲率を強くし、その面に弱いパワーの凹レンズを貼り合せることで「収斂性を高め」る工夫を加えた。 これにより、周辺部の光線の角度を強め、周辺部の焦点位置を前方=収差グラフの左方向(補正不足方向)=に修正した。その影響により、f1.5のゾナーは開放絞りにおいて平均的に良好な画像となったが、部分部分では収差の拡大も見られ、多少絞りこんだ状態においては、f2.0のほうが画像が優れている場合も多い。エルノスター、ゾナーに代表される非対称型の大口径標準レンズは、元来あまり大口径を想定していなかったトリプレットを明るくするために、前群に強い凸のパワー、第2群に強いマイナスのパワーを与えたことで、全体的にテレフォト性格になった。そのため画角とバックフォーカスの制約を受けることとなり、その後の一眼レフ時代の対応に苦慮することとなった。

 Photos with Sonnar 5cm f1.5 1st version
 
2016
Yono Taisho-jidai matsuri
(与野大正時代祭り)
 

同じ日同じ場所での写真をDallmeyer Septac 5cm f1.5のページにあげてありますので、ぜひ描写の比較をしてみてください。
どちらも素晴らしい滲みレンズぶりですね。ボケ味などは両者のレンズ構成などを反映して結構違います。個人的な好みとしては、総じてダブルガウス変形パターンのボケ方のほうが好きかもしれません。


You can check the difference of description with Dallmeyer Septac 5cmf1.5 taken on the same day and same place.
I appreciate both are wonderful blurred lenses. Bokeh taste is quite different, reflecting the lens composition of both. As a personal preference, I may like the way the blur of the Double Gaussian deformated composition in general.

2014
Super Yosakoi Festival
(スーパーよさこい)
 

購入したばかりのゾナーで早速試写してきました。
スーパーよさこい祭りは大好きなイベントですが、残念ながらこの日は雨模様。
あまり枚数が撮れませんでした。
描写でもっとも強く感じるのは、「ダブルガウスとは違う」という点です。
個別的には、
 @中央部はシャープだが、ダブルガウスほどの「切れ」はない。
 Aボケに2線ボケは少ない。
 B上記A加えてコマ収差が少ないことから、ボケの雰囲気が「ジワーっとした」ものになる。
 Cただし、周辺はダブルガウスより非点収差の影響が強く、流れる。
など、いくつか判別できるのですが、それよりも画像の「全体的雰囲気の違い」というものを強く感じました。


I took several photos with Sonnar f1.5 just bought.
The Super Yosakoi Festival is my very favorite, but it was a rainy day. I could not take so many samples.
What I felt to see the expression of this Sonnar f1.5 lens is that Sonnar is the 'different' lens from Double Gauss.
By each I can distinguish,,
 1. The center part is sharp but Sonnar does not show such keen sharpness of Double Gauss.
 2. It shows much less 'two lines Bokeh'.
 3. In addition of above2. it shows much less Coma aberration, so the atmosphere of Sonnar's Bokeh is more oozy.
 4. But the peripheral area shows more flow than Double Gauss because of astigmatism.
But it is more definite that the atomosphere of Sonnar is not that of Double Gauss in total.

 
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