Angenieux Paris 50mm f1.5
 

Lens Data

Lens Unit

Lens Photo

製造メーカー:Angenieux
製造番号:294068
製造年:1954年
レンズ構成:4群6枚 ダブルガウス型
重量:320g(ライカマウント加工含む)
最小絞り値:f22
絞り枚数:10枚
最短撮影距離:2.5 ft
マウント:ライカスクリューマウント(宮崎光学による

Lens Impression

レクタフレックス、ライカL、エキザクタ、プラクチカなどのマウントがありますが、ライカマウントは特に数が少なく、市場に出てくる機会もほとんどありません。
この個体はエキザクタマウントでしたが、ライカMマウントに連動するよう改造してもらいました。

レンズ構成はシンプルなダブルガウス型ですが、さまざまな収差が残存しており、開放で画面全体にかかるやわらかな滲み(球面収差)、周辺でのコマ収差や非点収差が組み合わさることによって、このレンズ特有のなんともいえない味を示してくれます。
絞るとかなりすっきりとした描写になりますが、周辺部のやわらかさは残ります。

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アンジェニュー社のダブルガウス型50mmf1.8(S1)と50mmf1.5(S21)については非常に資料が少ない。
ともに複数のマウントで販売されており、50mmf1.8(S1)はライカスクリュー、エキサクタ、M42、レクタフレックス、RFコンタックス、アルパのマウントがあり、鏡胴のデザインも多様である。50mmf1.5(S21)はライカスクリュー、エキサクタ、M42、レクタフレックスのマウントがあり、鏡胴のデザインはS1ほどは多くない。コンタックスマウントはまだ確認できていない。
製造開始は50mmf1.8(S1)のほうが早く1952年頃から、50mmf1.5(S21)は1953年からと言われている。(この個体は1954年製)

カタログには5cmf1.5(S21)が一眼レフを意識して作られたレンズであることが明確に描かれており、実際のレンズもエクサクタやM42などを目にする機会が非常に多い。
1922年のキノ・プラズマート、1932年のゾナー、1936年のクセノンなどの5cm f1.5レンズの開発以降、長い期間にわたって35mmフォーマットの大口径標準レンズは5cm f1.5であったが、それらのレンズはいずれもミラーのないレンジファインダーカメラ用に設計されており、バックフォーカスの制約があまりないものであった。
その後、一眼レフ時代を迎えるにあたり、各社はそれにあう大口径標準レンズを設計したが、ガラス硝材の制約により50mmという焦点距離でミラーボックスのスペースをクリアする大口径標準レンズはなかなか実現しなかった。ビオターやプリモプランは58mmとなり、また1959年にf1.4を開発したニッコールも当初は58mmであった。
本格的に焦点距離50mmの一眼レフ用大口径標準レンズが作られるようになるのは、1950年代に開発が始まり、60年代に多く実用化された新種レンズの登場以降である。

このS21レンズにこうした新種の高屈折率ガラスが導入されているのかどうかは不明であるが、ほぼ同時期に設計された同社のf1.0という8枚構成のレンジには「LaK13」という新種ガラスが使われており、S21 への採用についても可能性はある。いずれにせよ、4群6枚という基本的なダブルガウス型構造を崩すことなく、f1.5を達成していることは、アンジェニュー社の高い技術力を物語っているといえるであろう。S21は新種ガラスによる多くの一眼レフ用レンズが登場してくるまで、もっとも明るい一眼レフ標準レンズであった。

描写に関しては、4群6枚のダブルガウス型基本形でf1.5まで拡大してあることから、収差補正に限界も見える部分もあるが、十分実用的で、その高速性を最大限に活用すべきレンズである。

同社のカタログに記載されているレンズ構成図を見ると、50mmf1.8 S1レンズと50mmf1.5 S21レンズではほとんど差がないように思えるが、詳細に比較すると各レンズの曲率はかなり異なっていて、50mmf1.8 S1はS21に比べて全体的にフラットである。f1.5 S21は特に中央の向かい合わせ部分のレンズ曲率が深くなっている。著名なレンズ設計者がf1.5の明るさを達成するために様々な工夫を加える中で、多くのレンズが曲率を抑え収差の拡大を防ぐために、前群・後群いずれかにレンズを追加しているが、このS21はそれをせず、4群6枚の基本構造でこの明るさを実現させた。ただしその結果、その描写には収差が少なからず存在する。

決してカタログで謳われているような、f1.5開放から優秀な描写(一般的な基準で)とは言い切れない。しかしこのレンズの優れたところは、その収差の現れ方がフランスらしく非常に「お洒落」であることだ。言葉で言い表すことななかなか難しいのだが、仮に生理的に惹かれる柔らかさ・ボケ方の描写と、避けたい描写という区分があるとすると、まちがいなく「惹かれる」のである


  Photos with Angenieux 50mmf1.5
 
2020
Mukoujima with Hasselblad 907x
(ハッセル907Xで向島・浅草)

43.8x32.9ミリのセンサーサイズを持つハッセルブラッドのミラーレスデジタルカメラ907Xに装着。周辺はさすがに黒くけられますが、少しだけトリミングすれば問題ないレベルなので実用性は十分だと思います。

今までの35mmフルサイズでは撮影できなかったレンズのイメージサークルの最周辺部の描写を確認することができるので、レンズマニアとしては貴重な組み合わせといえるでしょう。

意識して絞り開放f1.5で撮影しましたが、1段目と2段目の右端5枚目6枚目は開放・f5.6と並べておりますので、比較参照に使用ください。

このレンズの素晴らしい特徴は、開放時に画像全体を覆う光の滲みと、でも崩れることのないピント面が解像という点にあることがよりわかりやすくなったような気がします。

f5.6に絞れば開放時の特徴はどこへやらで、非常にしっかりとした画像を提供してくれ、撮影目的別に幅広い守備範囲をもったレンズだということがよくわかります。

2020
Atami in early spring
(早春の熱海)
糸川桜と飲食街川
熱海梅園から来宮


次に出す本の50mm f1.9レンズの作例撮影のために熱海に行ってきました。本番の撮影は上野由日路カメラマンにお任せですが、私は助手役と脇から少し撮影させていただくというスタイルです。

発売になったばかりの「ライカSL2」が手元に届いたので、それとつり合わせるべく、Angenieux S21 5cmf1.5を装着しました。しかしこのレンズは高くなりましたね。最近さらに上がっているようで100万を超えるケースも多くみられます。私が購入したころは一桁だったのに、、、オールドレンズブームも困ったものです。

モデルは嶋田葵(竹永あい)さんにお願いしました。とても気さくで表情豊かな美しいお嬢さんで、撮り方によってとても可愛らしく写ったり、クールな美人に写ったりと、カメラマンにとってもとてもありがたいモデルさんでした。

左の作例は「脇撮り」ですので、必然的に横顔が多くなりましたが、その分葵さんのクールな表情の画像が多く撮れているように思います。

2015
Shinagawa Shukuba Matsuri
(品川宿場まつり)
 

毎年恒例の品川宿場まつりにいってきました。
過去天気に恵まれ、汗だくで撮影していることが多かったのですが、今年は高曇りで、とても快適に撮影できました。
毎年顔なじみの参加者、初めて見る参加者、さまざまにパレードしており、その「ゆるい」流れの雰囲気がとても楽しい気分にさせてくれます。

動いている被写体が多いので、ピントを確保するためにf2.8-f4に絞って撮っているものが多いですが、今回は非常に端正な写りを見せてくれています。


I visited Shinagawa Shukuba Matsuri as my annual event.
I remember it was often very hot for photo taking in the past, but it was much more comfortable this year under light cloudy condition.
I could find familier faces and new faces parading. The atomosphere of such loose parade makes me very pleasant.

I used the diaphragm at f2.8-f4 to keep focus at the parading figures and which shows very neat images.


2012
Kyoto
(京都)

京都の商店街はアーケードや軒下が多く、光線が限られているのでスナップには難しいところですね。
でも、このレンズですと結構楽しく撮影することができました。
画面全体の滲みが綺麗です。
少し絞って撮った紅葉の写真も、シャープな中に全体的にふわっとした感じが残り、秋らしさを強めてくれているように感じました。


Shopping area in Kyoto city consists of Arcade or under the eavesne, and the cut off the ray of light makes snapshot photo rather difficult.
However I enjoyed very much because of using such nice lens.
The taste of Blur around the picure is very beautiful.
Photos of red leaves taken with closed apperture shows soft and floating taste in the sharpness and I felt it strengthen the feeling of Autumn seasen more.


2011
Choshi
(銚子)

冬の快晴の一日、銚子電鉄に乗ってきました。アンジェニューS21は、開放では柔らかいフレアがかかり、
ボケは全体に浸みだしていくような味わいが出ています。
レンズ構成はダブルガウスの基本形である4群6枚ですが、本当にこの構成はさまざまな顔を見せてくれると思います。


One sunny winter day. I had a short trip riding Choshi Dentetsu Railway. Angenieux S21 lens expresses soft flare
 at full aperture and its Bokeh effuses all around.
The Composition of S21 is 4 groups 6 glasses which is the basic form of Double Gauss, but it show us various 
characteristic of the Double Gauss expression.

2009
Hampton Court
(ハンプトンコート宮殿)

この日のハンプトンコート宮殿では、ヘンリー八世とアン・ブーリン?が出迎えてくれました。お二人ともよく雰囲気を出しています。
またこのレンズの周辺の柔らかなボケと、ピント部分からのなだらかな階調は被写体をうまく浮き上がらせてくれています。
それ以外の人物の写真ではピント部分の滲みが特徴的ですね。
桜の写真ではこのレンズの後ボケの特徴がよくわかります。派手でないぐるぐると、ドラマチックなボケ具合がとても好きです。


In the Hampton Court palace of this day, Henry VIII and Anne Boleyn have welcomed us. They gave us a very nice atmosphere
there. Moreover, the soft bokeh in peripheral area and the gently-sloping gradation from a focus portion stand out the photographic
subject very well. The blur of the focus part is also characteristic in the other examples. With the photos of a cherry tree, you can see
the feature of rear bokeh of this lens well. I like the less flashy swirling but dramatic bokeh of this lens so much.


2008
Nottinghill
(ノッティングヒル)

ノッティングヒルの春は素晴らしい。光が木々に映えて輝いていました。そしてAngenieux50mmf1.5のなんとも不思議な立体感のある
写りの特徴が非常に良く出ています。絞り開放での作例ではこのレンズ特有の滲みとボケの描写が独特の絵を提供してくれました。


The spring of Notting Hill is so wonderful. Light has been shining in trees. And a characteristic of the image with a very mysterious
three-dimensional impression of this Angenieux50mmf1.5 is coming out very well. In these examples in full aperture, the description
of peculiar bokeh and blur offered very special images.


2008
across the Thames
(テムズ対岸)

今回は夜間の撮影ですが、完全には開放にせず、ほんの僅か絞りを(f2-2.8)加えて撮影しました。すると予想外のくっきり画像が。
夜間の光源ももっともっと滲み、歪むと想定していたのですが、かなり素直な写りです。開放とのこの違いに更なる興味が湧いてきました。


It was night photos this time, but, in addition, I took with closing a few diaphragm (f2-2.8) without completely making full aperture.
Then unexpectedly, a clear image appeared. Although I thought the light at night makes more blur and distortion, a quite gentle
projection came out. I got further interest in this difference with the full aperture.


2007
Mayfair Area
(メイフェア地区)

散歩した際の作例です。このレンズも絞るとかなりカチッとした写りになりますが、なんといっても大好きなのは開放での滲みとボケと
暴れ方のバランスです。本当に好きなレンズです。


They are examples when it took a walk. When closing aperture of this lens, it becomes considerably sharp. But what I like in this lens
is the balance of a blur and bokeh at the full aperture. It is a really favorite lens.


2006
Akihabara、Ueno
(秋葉原、上野)

このレンズも撮るたびに違った顔を示してくれます。個別に見てください。ぐるぐるが出たり、滲んでみたり、いろいろです。
でもいずれも非常にバランスがとれており、品のある仕上がりになるのがこのレンズの素晴らしいところですね。


Whenever I take photos with this lens, a different face is shown. Please look the examples by each. It is so various with
swirling bokeh coming out in some or blur spreading in others. But each maintains balance very well and the wonderful point
of this lens is making a refined result always.


2006
botanical garden
(生物園)


(蝶)温室の中は無数の蝶が乱舞しておりましたが、この蝶はこの状態でまったく動きがありませんでした。まさに「絵」ですね、
この描写は。ピントがきている蝶の背中のすぐ周辺もしっかり滲んでいます。


Innumerable butterflies were dancing in the greenhouse, but this butterfly did not have any movement in this state at all.
The description of this is "Picture" exactly. The immediate outskirts of the back of the butterfly that focus comes are blurred such well.


 
 
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