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 Kino-Plasmat (キノ・プラズマート) 5cm(50mm) f1.5 (2)
 

Lens Data

Lens Unit

Lens Photo


製造メーカー:Hugo Meyer
設計者:Paul Rudolph
製造番号:582413
製造年:1933年
特許番号:DE401630
特許申請日:1922/12/31
レンズ構成:4群6枚 キノ・プラズマート型(同上)
重量:288g
最小絞り値:f16 国際絞り
絞り枚数:17枚
最短距離:80cm
マウント:ライカスクリューマウント(宮崎光学による)

Lens Impression

新しいキノ・プラズマートを入手しました。
鏡胴はオリジナル・ライカ・マウントのものと同じです。さらに絞りリングがクロームではなくニッケルですので、より渋い輝きで魅了してくれています。
M&S Opticalさんにお願いしてライカマウントにしていただきました。
描写の特徴は1本目と同じキノ・プラズマートそのものですが、ガラスがよりクリアな状態である分、こちらのレンズのほうが抜けの良い画像をもたらしてくれます。

キノ・プラズマートはオールドレンズ界のスーパースター的存在といっても過言ではないだろう。理由は明確である。他のどの高速レンズよりも早く1920年代前半にf1.5を達成し、しかもその設計者は写真レンズ界のレジェンド、パウル・ルドルフ博士である。アナスティグマートやプラナー、そしてテッサーなど現在にまでその名を残す有名レンズを世に送り出した稀代の名設計者が還暦を過ぎて再就職し、おそらく設計に制約のないかなり自由な環境で作り出した渾身のレンズが、かつてのツァイス時代とは全く趣を異にするものであるという事実は、キノ・プラズマートへの興味を限りなく掻き立てる。
 さらに人はそのレンズ構成図を見てさらに驚かざるを得ない。ほとんどの対称型構成のレンズが、中心部に向かって凹面を向かい合わせているのに対し、キノ・プラズマートは見事なまでに凸面同士を向かい合わせている。初めて構成図を見たとき、「これで結像するのか?」と正直感じさせられたくらいである。

 キノ・プラズマートにはf1.5とf2の2種類があり、どちらも基本デザインは同じである。また非常に多くの焦点距離で作られた。ルドルフ博士在籍中の1927年のフーゴ・マイヤー社のカタログには、f1.5で、2cm/2.5cm/3.5cm/4.2cm/5cm/7.5cm/9cmの7種類、f2で2.2cm/3.5cm/4.2cm/5cm/6cm/7.5cm/9cm/10cm/12.5cmの9種類の記載がある。
 カタログには記載がないが、今までのところ、4.2cm、5cm、7.5cmのf1.5に純正のライカスクリューマウントのものの存在が確認されている。4.2cmと5cmには各々①真鍮にブラックペイントした基調のデザインと、②クローム仕上げの2種類があるが、非常に生産台数が少ないこれらのレンズに何故2つの異なったデザインを作り上げたのか、その理由は不明である。75mmf1.5のライカスクリューマウントのものは鏡胴のバリエーションが多いが、基本的なデザインは類似している。
 キノ・プラズマートのレンズ鏡胴には、通常、前面もしくは側面に社名、製造番号、そしてパウル・ルドルフ博士の名前が刻印されており、レンズの格調を高めている。また中には加えてNewYorkと刻印されたものがかなり存在している。
 キノ・プラズマートのレンズ構成は極めて特殊で他に例を見ないものであるが、1つだけレンズ構成を同じくしているレンズがある。それはダルマイヤー社のSpeed Anastigmat(スピード・アナスティグマート) f1.5レンズで、12.5mmから75mmまで複数の焦点距離で製造された映画用レンズである。スピード・アナスティグマート f1.5レンズは情報が極めて少なく、いままでのところフーゴ・マイヤー社とダルマイヤー社の関係は解明されていない。

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 Photos with Kino-Plasmat 5cm f1.5 (2)
 
2021
Minowa,Nihondutsumi
(三ノ輪、日本堤)

正統な東京下町の原風景が残る三ノ輪界隈を歩きます。観光用ではなく、実際に多くの人が生活している空間ですので、むやみに撮影はできませんが、実際に野菜や惣菜を買いながらぽつぽつとカメラを構えました。

キノ・プラズマートはほとんど絞り開放で撮影しています。画面周辺部は大きく流れますので、記録映像としては今一つですが、下町の雰囲気を写し採るには最適のレンズなのかもしれません。

1枚目の細い通りは江戸時代には吉原通いの道としてその名をはせた「日本堤」の名残です。その場に佇みながら往時の光景をしのびます。正面には現代下町のシンボルである東京スカイツリーが美しくそびえます。


2018
Ballet Practice
(バレエ練習風景)
Kino Plasmat 5cm f1.5
Summicron 50mm f2(参考)

以前から撮りたいと思っていた、BWでのバレエ練習風景の撮影をlicoさんのご協力で行うことができました。
ありがたいことです。
撮影場所は本来はクラシックなバレエ教室などが望ましいのですが、日本でそういう場所を見つけるのはなかなか難しいので、こじんまりとしたスタジオをそう見立てて使用。譲れない条件は①窓から外光が入ること、②ライティングはなし、ということでしたが、十分満足できる場所でした。
彼女は長いこと練習からも離れていたとのことですが、いえいえ、素晴らしいパフォーマンスを見せてくれました。

撮影レンズはほとんどがキノ・プラズマートで、一部初期ブラックペイントのズミクロンも使いました。いずれもすべて絞りは開放です。通常の場面では周辺のぐるぐるボケに目が行ってしまうキノ・プラズマートですが、このような光の元ではむしろ被写体の立体感を強め、さらにソフト効果も与えてくれるようです。


With a kind cooperation of Lico san, I could make photo shooting of ballet practice scene in BW. I thank her so much.
Although it is desirable to use a real classic ballet classroom, it is so difficult to find one, so I used a small studio instead. The minimum condition is ① external light entering through the window, ② no artificial lighting, and that was a satisfactory place.
She said that she was away from practice for a long time, no no, she showed great performance. 
The lens I used was mostly Kino Plasmat and some photos were with early BP Summicron 50mm. In full aperture
for all photos. We usually put our eyes on the swirling bokeh in peripheral area for Kino Plasmat, but it seems that under such light, it will rather enhance the three-dimensional effect of the subject and also give a soft effect.


2015
Kamakura Yukata
(鎌倉浴衣撮影会)
 
プリコラージュ工房NOCTOさんが主催された浴衣撮影会に参加しました。開催場所は「古民家スタジオ・イシワタリ」です。そこはとても雰囲気のあるスペースで、いろいろな季節・気候で撮影したくなりました。
当日はまさに猛暑日連続記録の真っ只中でしたので、モデルさんも撮影者も汗だくになりながらの撮影、おのずとあまり動き回ることなく、撮影は続きました。

当日は35mm,50mm,75mmの3本のキノ・プラズマートを持参しました。

今回の撮影場所では50mmが最も自分に合っていましたので、最も多くの枚数を撮影しました。
明暗の差が激しく、非常に光のコントロールが難しい状況で、普段このようなモデル撮影を行わない撮影スタイルばかりですので、未熟な部分が多く出てしまいましたね。
レンズの描写は75mmよりははっきりとした「ぐるぐるボケ」が見られますが、中央部のクリアな画像とのコントラストが、やはりキノ・プラズマートが究極と思わせるだけのパワーを示してくれています。
2014
Hato no Machi
(鳩の街)
 

知る人ぞ知る鳩の街です。さまざまな小説などでやや猥雑さを含んだ下町の情感が伝えられた街です。
戦前は永井荷風の小説濹東綺譚
で有名な「玉の井」がこの近辺では著名でしたが、戦災で焼けてしまったために、一部の業者が移転して再開した場所がこの鳩の街といわれています。両者は歩いて10分くらいの距離にありますが、どちらも現在はごく普通の住宅街・商店街となってしまっています。
鳩の街商店街も、残念ながらすでにあまり人通りの多くない商店街となってしまっていました。それでもその場の空気には確かに華やかなりし香りも漂っておりました。
前半が絞った写真作例、後半が開放での作例となります。

'Hato no Machi' had been a famous amusement town written in many Novels.
Until the end of WWII, Tamanoi in stead of Hato no Machi had been more fanous around this area, however because Tamanoi got heavy damage by the Air Raid Attach in WWII, some agents in Tamanoi have moved into Hato no Machi and start business again. Both area locates only within 10 minutes walking distance, both area became usual residential area.
I could not find many people shopping at Hato no Machi shopping zone, but I definetely felt some air coming from past exciting atomosphere of this town.


2013
Matsuri in Akiya
(秋谷の祭り)
横須賀市秋谷は別名「南葉山」とも呼ばれる地域ですが、まだまだ鄙びた漁村の雰囲気を残しています。
毎年7月に行われる祭りは地域をあげて行われるもので、神輿が海の中を進むことが特徴です。
今回導入したキノ・プラズマートは、非常にクリアなレンズで、中央部は非常にぬけの良い画像を示してくれます。
周辺部はまさにキノの画像で、非点収差からくるぐるぐるが画面全体の立体感を増してくれます。

'Akiya' in Yokosuka city is the area also called 'south Hayama', still remains an atomosphere of rustic fishing village.
Thsi summer festival is held in July every year which has characteristic of carrying portable shrines in the sea.
This new Kino Plasmat is very clear lens which shows such sharp and transparent expression in center of pictures.
On the other hand, it also shows typical Kino Plasmat's expression arond peripheral part whose swirling bokeh enhances
its three dimensional impression.