Wollensak Raptar 51mm(2.04inch) f1.5
 

Lens Data

Lens Unit

Lens Photo

製造メーカー:Wollensak
設計者:不明
製造番号:D77488(7)
製造年:1963-64年
レンズ構成:4群6枚のダブルガウス型
重量:290g
最小絞り値:f22
絞り枚数:15枚
最短距離:80cm
マウント:ライカスクリューマウント(宮崎光学による)

Lens Impression

WollenskのRaptarも非常にバリエーションの多いレンズですね。焦点距離も広角から望遠まで様々、開放絞り値もf1.5、f2.0、f2.7、f4.5など、とても列挙できません。
さて、このレンズは、その中でもとても変わり種の51mmf1.5です。2インチの換算で51mmではありません。わざわざ2.04インチと刻印までされています。さらにシリアルナンバーも特殊で、N&Dからはじまり、また最後には(7)という意味不明の番号まで付けられています。

-----------------------------------------------------------------------

ウォーレンサックは資料の少ない会社で、特にラプターが活躍した時期と、会社が買収されていった時期が重なっていることから、まとまった情報がなかなか入手できない状態である。このレンズでも少なくともレンズ構成と製造年代を特定したいのだが、こちらも明確な資料は見つかっていない。
今回紹介するレンズの売主は商談時にこのレンズはEG&G社製カメラに組み込まれて、米国ネバダ州の核実験場のオシロスコープの画面に現れる原爆が発する電磁波の微細な波形を記録するために使われていたことと、このレンズの前はニッコール5cmf1.4が使われていたことを伝えてきていた。同社は 以前はEdgerton, Germeshausen, and Grier, Inc.,という会社名であったが、 先頭に名前のあるHarold Eugene Edgertonは1億分の1秒を可能とした「Rapatonic camera」の考案者であり、またストロボ撮影のトップランナーであったことから、爆発現象の瞬間記録に携わるには最適の会社であったといえる。
EG&G社は1961年に爆発の瞬間を直接記録するためにFastax超高速カメラの特別仕様を開発したが、このカメラにはWollensak Fototel 20 inch f6.3とWollensak Mirrotel 40 inch f6.3が装着されていた。EG&GとWollensakは高速撮影技術の研究などでかなり密接な関係があったようで、当時米国の原子力委員会の主要コンサルティング業者として核実験に携わっていたEG&G社が間接撮影用レンズにニッコールの後継としてWollensakのRaptarを採用した可能性は高いのではないかと考えられる。

宮崎光学に同レンズ(Dumont CROの記載があるので全く同一ではないが、レンズ構造は同じであるとMs-Opticalで特定)の改造を依頼した中将姫光学のH氏の記事によると、このレンズは4群6枚の変形ダブルガウス型であるようだ。では、LEDライトを使って反射面で確認すると、前群は反射が5つ、正の動きが3、逆の動きが2である。これは間違いなくダブルガウス型の前群と同一と考えられる。後群は反射が5つ、正が3つ、逆が2つ。こちらもダブルガウス型の後群と同一と推定できる。
4群6枚の変形ダブルガウス型でf1.5のレンズを設計した場合、開放での収差補正にかなり無理があり、シャープさを損なう可能性が高いが、このレンズは非常にシャープであり、しっかりとした構造と素材が投入されているのではないであろうか。


 Photos with Raptar 51mm(2.04inch f1.5)
 
2014
Kamakura
(鎌倉)
 

久しぶりに持ち出しました。鎌倉でのスナップは絞りf2.8-f4.0で撮影しています。
描写のシャープさは相変わらず。
オールドレンズでは時々ありますが、このレンズも一定以上絞り込むと画面上部にフレアがでます。
開放で「寒牡丹」を撮影しましたが、やわらかく滲みが出て、絞ったときとはまったく異なる表情を見せてくれます。


I took out this lens after a little long absence. Most of snap photos in Kamakura were taken at f2.8-f4..
I enjoyed the sharpness of this lens as before.
It appears a little  flare around the top of the picture when taken at rather closed aperture which I had many experience using old lenses.
I took winter-flowering peony at full aperture where you can see tender Halo around highlight of subject which is the different aspect of this lens.


2009
Hydepark Christmas market
(ハイドパーク・クリスマスマーケット)

今回は白黒をメインにしましたが、改めてこのレンズのシャープさと立体感を強く感じました。逆光では少しフレアもかかるようですが、
それも全く気にならないほど被写体の切れが素晴らしいレンズです。

Showing in B/W mainly. I again felt strongly the sharpness and three dimensional strength in this lens. I can find some
 flare under back light condition, I think this is such a wonderful lens even with some disadvantage against the modernest
 lens.


2010
Portbello
(ポートベロー)

おなじみのポートベローマーケットです。この日は撮影後両手の甲が軽い凍傷になったくらい気温の低い日でしたが、マーケットへの人手の多さは相変わらずです。一時はまともに歩くことができないくらいの混雑振りでした。
人物のスナップはほとんど開放近くでの撮影ですが、このレンズのピントのシャープさには驚きました。まさに「切れる」という表現がぴったりの描写だと思います。

It was a very cold day in London as I got chilblains on my back of both hands after taking these photos at the usual Portbello Market. However the number of the large crowds were as usual. It has been not easy even just walk along the street there.
I took most snap photos of people at around full aperture, I was very surprised to the sharpness of this lens. The expression of the fucused part suits the word "to cut the scene", I think.


 
home