Ross Ltdは、光学機器製造(天文測量)の技術見習いを終えたAndrew Ross(1798-1859)によって1830年に設立された。
設立初期から光学レンズ製造に関与し、1850年代半ばにWray(1855)、Dallmeyer(1860)などが参入して市場競争が激化する以前は英国内では独占的なメーカーの地位を占めていた。
Andrewの息子のThomas.R.Rossもカメラレンズの設計に興味を示したが、当時この分野に大きく影響を与えたのは、弟子のJ.H.Dallmeyerだといわれる。(彼はAndrewに気に入られて次女と結婚するが、Andrewの死後1年でThomasと分かれて自分の会社を設立する)
Thomasの死後、J.Stuartが会社を引き継ぎ、多くのドイツ人技術者を採用してレンズ設計を行った。後にRossがZeissの総代理店となり、多くのZeissレンズを生産することとなるのは、独自のAnastigmatレンズの実績があったことと、ドイツ人スタッフが数多く在籍していたことも大きな要因だと思われる。
1890年から第一次世界大戦終了の1914年までは、主にZeissのAnastigmatレンズをライセンス生産し、会社も発展する。さらにGoerzレンズも生産。
・1896-7年からはPlanarの生産開始(f3.6/3.8/4.0/4.2/4.5/5.0/6.0)
・1900年からはUnar生産販売開始(f4.5/5.0/5.3/5.6/6.3)
・1908-1914の期間はTessarも生産(f3.5/4.5/6.3)
・新設計のレンズも製作。Homocentric1902〜、Ross Convertible (Plotarの後継として)
第一次大戦後は、それまで別名であったテッサータイプのレンズをXpressと改めて生産。
・1920年代 f4.5/f3.5
・1930年代 f2.9
・1940年代前後〜 f1.9
1897年に株式会社化し正式にRoss Ltdとなるが、1922年に一度買収され、その後1949年にはBarnet-Ensign社に買収される。
第二次大戦後の主要なレンズ
・Xtralux 50mmf2.0/90mmf3.5/135mmf4.5
・Ross/f3.5 レアレンズ Reid or Witness用?
・Xpress 多種 f3.5-f4.5が主体。